作り始めの頃 2


今日は母の誕生日。

おかあさん、誕生日おめでとう。
いつまでも元気で長生きしてね。



母は30代の終わりから、短歌をつくってい
る。 そして「ヒムロ」や「アララギ」など
に投稿してきた。 



紹介している短歌は、作り始めの頃の歌なの
で拙い。でも、私はその頃の母の歌が好きだ。 
40年ぐらい前の、昭和39年の短歌。




曇り来て明日の雨をたのみつつ夕暮れせわしく
ピーマンを植える



裏庭に甘き香りの漂いて木犀の花はや咲き始めぬ



松が枝をたわめて通る窓外に父の身案ずる
子らのいとしき



清々と今日の空澄み渡り台風一過筋雲たなびく



久々にリズムにのりて踊る夕ほほ輝きて
皆美しく見ゆ



新しき毛並みよそおうカナリアのさえずり高く
秋の深まる



静かなる丘の上に建つという工場整地の人等
今日も見ゆ



かりそめの蛇口をひねり待ちし日の
長かりしかな今日の通水



メモをとり七輪かこみて和やかに料理実習の
一日の短し



増水で非常召集受けし夫リュック背負いて
足早に行く



我がとりし初なりの瓜青々と今宵のサラダに
色映えて見ゆ



幾月を育ちし茄子に台風の報せを聞いて
そえぎを急ぐ



淡き光川面に写し読経ととも闇間に灯篭
流れ行くなり