母の短歌

母の短歌

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母の短歌

母の短歌 http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090302#p4 http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090303#p3 http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090304#p2

母の短歌

母の短歌 http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090226#p3 http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090227#p2 http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090228#p3 http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090301#p5 http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090302#p4

平成の歌

平成の歌47 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090207#p4 平成の歌48 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090208#p4 平成の歌49 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090209#p4

平成の歌49

アルバムを見つつ夫在りて四人の子と 移り住みたる村々を思ふ 古里の水車小屋跡に佇めば 姉さんかぶりの母の面影 子の好む鯉濃汁の煮付方 帰国せし嫁は電話で問ひくる 庭隅の紅葉極まるハナノキよ 植ゑて逝きし夫思ひて仰ぐ

平成の歌48

打順待つマレットゴルフ場は白々と 四照花の花盛り咲きをり 意に添はぬことのみ多き一日にて 夕べ黄バラの花に寄りゆく 久々の毛糸の感触親しくて 雨の一日をチョッキ編みつぐ 待ちはびし娘の退院の日を迎へ 露明けの日に布団を干しぬ

平成の歌47

門先の温かき日ざしの中に咲く 春蘭みれば湧く思ひあり 如何様にも怠けられうる一人暮らしを 自らを励まし一日の始まる 仕上がりし木目込人形のおさげ髪 梳けば娘の幼顔浮かぶ 狭き畑は連作さけるもままならず 小さく区切りてマルチをしきぬ

平成の歌46

在りし日に母剥きくれし真綿入れ 娘の半纏を今宵仕上げぬ 紙のごとく軽き宇宙食のストロベリー 含めば清かに香り広がる 山峡の谷間を白く包みゐし 霧のぼりくるわが立つ丘に 雲間より差しくる朝日に煌きつつ 舞ひくる雪は地につかず消ゆ

平成の歌

平成の歌43 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090203#p5 平成の歌44 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090204#p3 平成の歌45 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090205#p4

平成の歌45

憂きことの薄らぐ思ひに微笑みある 夫の写絵に今日も向かへり 青桐の実の触れ合ひて音立つる 木下に息を整へて立つ 九月中は水を控へしシャコサボテン 葉の先毎に莟もち来ぬ 神の湯に向ふわがバス諸木々の 紅葉に触れつつ山道登る

平成の歌44

心豊けく過ごしゐるわがこの日々を 亡き夫に謝す心忘れず 寝苦しき夜もなくして夏も過ぎ 今宵早くも馬追の鳴く 秋づきし光の中に庭隅の 藪柑子の実付きてきぬ 箪笥の傷の一つ一つに思ひ出ありて 移り住みし村々思ひて磨く

平成の歌43

アスファルト割りて萌えたつ餅草に 心励まさるる思ひして行く 御守りの袋に夫の写真入れ 手術室より娘の出づるを待つ 川底より上げし砂つぎつぎに 這ひ出づる蟹を川に戻しぬ 幼き日つばなの花芽つみ食ひし 畦道を姉と久々に歩む

平成の歌

平成の歌40 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090131#p5 平成の歌41 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090201#p5 平成の歌42 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090202#p3

平成の歌42

思ひゐし東山魁夷館に今日は来て 「白馬の森」の絵葉書を買ふ 在りし日に夫の好みし「四季の歌」 テレビより流るればわれもハミングす 知至先生を偲ぶよすがの紫蘭咲き はや六度の忌日巡り来ぬ 亡き夫の形見と培う石楠花の 新葉伸び立つ淡き緑に

平成の歌41

在りし日に夫の作りし玉しのぶ 赤く芽吹けるを松の枝に吊るす 中の湯の山桜咲く谷だにに 噴き湧く温泉の湯煙漂ふ 冬眠より覚めし蛙が動きにぶく 三つ葉摘む手許横ぎりゆきぬ モトクロスのあげる砂埃地蔵峠の 芽吹きの木々を白く覆ひぬ

平成の歌

平成の歌37 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090128#p3 平成の歌38 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090129#p3 平成の歌39 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090130#p3

平成の歌40

無人駅に遇へる媼は嫁の悪口 言ひてすっきりせしと笑へり 百五十人分のおでん作らむと大根こんにゃく 竹輪を刻む今日文化祭 りんご園に霜除けの風車音立つる 亡き夫初任地の高森に来ぬ 事故にあひ立てぬ野良猫に牛乳を 人にもの言ふごと娘は呑ませをり

平成の歌39

幾すじか光る娘の白髪見て われの齢を沁みて思ひぬ 九十分で地球を一周するといふ 宇宙博の宇宙船に今し乗り込む 夫逝きし年となれる誕生日 夫の分迄生きよと子等言ふ 雲一つなき茜空教会の 白き十字架浮き立ちて見ゆ

平成の歌38

思ひ来し宇宙博に娘と来り 夢心地して「ミール」に乗り込む 寝込みし時に己の為に縫ひためし むつきが母の箪笥にありき 冬枯れの庭に亡き母の生家より もらひ来りし葉蘭勢ふ 夫使ひ子も使ひたる広辞林 テープを貼りて補ひ使ふ

平成の歌37

羽場先生終の選なる十月の ヒムロ歌稿を淋しみて書く 文明先生の菩提寺よりの友の土産 開運鈴の音色やさしき 年毎に転入者多きわが部落 住宅地図見つつ通知配り行く 地に這ひて草紅葉の中タンポポの 小さき花が淡々と咲く

平成の歌36

雨止みし夕べの庭に色褪せし アヤメの花の雫滴るるを摘む 墓掃除終りて在りし日夫の植ゑし ハナノキの木陰に娘と茶をのむ 株張らず早続きに下草枯れし 里芋に深々と土寄せをする 餅を焼き大根を煮てごぜ達を もてなし居りし母の面影

平成の歌35

摘みてたのし食ひてうましと子規言ひし 土筆摘みきて胡麻和へにする この坂を杖にすがりて妻君の 墓参りされたる先生思ふ 錦木の散りしく小花払ひつつ 木下に植えし三つ葉を摘みぬ 夕風に細波たてる隣田に 今年は新築の家の灯揺らぐ

平成の歌35

クレーン車の大き手が吊るユニットを 重ねて忽ち家の形整ふ 三十円の値札つきしまま亡き夫の 買い置きし小刀錆びて出できぬ 己が為のみの栄養バランスを考へて 厨に立ちて馴れきぬ 年金の現状届けをだし来て 今年も健やかに生きたしと思ふ

平成の歌34

足止めて珍しみ見る石切場 機械の上に小さき虹たつ 毛利さんのスペークシャトルからの宇宙授業 始まるを待つ心たかぶりて 雨に濡るる野菊の花にまた寄りて 足りし心に去る左千夫記念館 在りし日に夫の植ゑたるベニマンサクの 花を濡らして時雨過ぎゆく

平成の歌33

たそがれて尚厳しき暑さのほてり残る 入り来る風の生あたたかし 幾度も鍵をたしかめ床に入る ことにも馴れて老いひとり住む 緑増し稲田の水面せばまりて ウリカワの白花風のまに見ゆ 残暑の中咲く松葉ボタンの花閉ざす 時も日毎に早くなり来ぬ

平成の歌32

白テッセン白花マンテマ咲くあたり 夕光ながく花明りする 隣り町へゆくがごとくに十日間の 海外出張を汝は告げきぬ 医師の告ぐる検査結果に安らぎて 夕餉の食欲俄かに進む 医師の身で五十才で逝きし兄を恋ふ 胃の再検査の知らせを受けて

平成の歌31

在りし日に夫の植ゑたる花大根に 紋白蝶のもつれつつ舞ふ 埃立つ迄に乾きし門先に 土竜もたげし黒土匂ふ 透視板に医師の貼るわが胃の写真 恐れを持ちて覗見をする ヒムロ誌に吾と同じく亡き夫と 詠める歌多しなべて寂しも

平成の歌30

亡き夫を心に下り立てば 在りし日植ゑし春蘭の咲く 左千夫先生の小説の舞台となりしお蛇ケ池 雨に煙りてただに静もる 母ここに座りゐましと心しむ 故里に来て姉と並ぶ縁に ちぎり絵に励みし今日は掃除機の 塵に目にたつ色とりどりの和紙

平成の歌29

柿むきを終へて安きか友の家の 窓は今宵早くも暗し 知至先生のみ庭に立ちて寂しき花と 詠まれし黄梅に向ひ偲びぬ 雨のまま啓蟄の今日昏れゆきて 六時の鐘の鈍く響きぬ わが庭の春の初花アネモネの 赤きを切りて夫に供へむ

平成の歌28

一月の半ばと言ふにアサツキの 淡き緑にこぞり萌えきぬ チューリップ水仙貝母萌え立ちし庭に この年初の草とりをする 総会の今田人形の三番曳 息合ふ仕草鈴の音やさし 常日頃さほど思はぬ孤独感 点らぬ家に入るとき兆ざす