一冊の問題集


「人生は一冊の問題集である」


このことばにであったのは、十数年前。
いや、もっと前だったかもしれない。



月に一度通っていたお茶の本部稽古の帰り、
私はかならず新宿の書店へ寄った。 帰り
のバスの時間を待っている間、私は読みた
い本を探すのが習慣になっていた。
そして、手にとった本の中に、このことば
が書いてあった。  



人は生まれてくる時、神様から一冊の問題集
をもらって、この世に生まれてくる。
そして、その問題集の中の問題を、私たちは
一つ一つていねいにといていかなくてはなら
ない。
・・・と、書いてあったように記憶している。 




その頃の私は、体の不自由な義母の世話で、
心が乱れることが多かった。 そんな時であ
ったことばだったので、よくおぼえている。




人生は一冊の問題集・・・か。
私にとって、体の不自由な義母の世話も、
神様からもらった問題集の中に入っているの
だろうな。
じゃあ、心など乱していては、とても問題な
どとけないな・・・と思った。




私は、今までに、神様から渡された問題集の
中の問題を、いくつとくことができただろうか。 



そして、あと残った時間で、いくつの問題を
とくことができるだろうか。 
一つでも多くの問題をといて、あの世へ帰りた
い。