作り始めの頃 3


昭和40年頃の短歌


一本の細き毛糸に夢たくし
   今日も一日セーターを編む




年毎に我宛の賀状へりいくも
   子等への賀状年ごとに増す




去年の春顔手折りし草原も
   根雪の下に春を待つらん




夜更けまで机に向かい励む子に
   鍋焼きうどんそっとおきくる



 
福寿草の鉢を日向に移しつつ
   ぬくき日ざしに背を向けて座る




久々に畑にいでて耕せる
   今宵はしきりに節々の痛む




ふくよかな香り漂わせ今日も又
   マイクで呼びてりんご車の通る  




陽に光る雨の細かく降る中を
   しぶきを浴びつつ舟下りする




芽咲きこし萌黄の中の岩間より
   ひときわ映ゆる白き米花




鉢植えの福寿草の花散りすぎて
   葉のしげれるを土に下ろしぬ