昭和40年頃の短歌
一本の細き毛糸に夢たくし
今日も一日セーターを編む
年毎に我宛の賀状へりいくも
子等への賀状年ごとに増す
去年の春顔手折りし草原も
根雪の下に春を待つらん
夜更けまで机に向かい励む子に
鍋焼きうどんそっとおきくる
福寿草の鉢を日向に移しつつ
ぬくき日ざしに背を向けて座る
久々に畑にいでて耕せる
今宵はしきりに節々の痛む
ふくよかな香り漂わせ今日も又
マイクで呼びてりんご車の通る
陽に光る雨の細かく降る中を
しぶきを浴びつつ舟下りする
芽咲きこし萌黄の中の岩間より
ひときわ映ゆる白き米花
鉢植えの福寿草の花散りすぎて
葉のしげれるを土に下ろしぬ