白駒の池

  
     白駒の池6


二人は、座禅草が咲いている高原を、ゆっくり歩
きました。
目の前に、八ヶ岳の山々がみえます。
「きよちゃん。あの山、何という山か知っている?」
清太は、八ヶ岳の一番高い山を指さしていいました。
「赤岳でしょ」
「そう。赤岳だね。じゃあ、赤岳のとなりの山は?」
「わからないわ。教えて」



「えーとね・・・たしか」
清太は、一生けんめい思い出しています。
権現岳と横岳かな」
清太は、天狗岳根石岳・硫黄岳・横岳・・・と、
山をゆびさしながら、八ヶ岳の山の名前を教えてく
れました。
高い山には、雪が少し残っていました。



「清太さん。今日は珍しい花をみることができて、
うれしかったわ。これからも、高原へつれてきてね」
「きよちゃん。これからも二人で花をみにこようね。
この高原では、春から秋にかけて、美しい花がたく
さん咲くんだよ」
清太は、うれしそうにいいました。



その後。
きよと清太は、白駒の背にのり、高原へ花をみに行
きました。
春は、座禅草を。初夏には、れんげつつじを。そして、
真夏には、日光きすげややなぎらんを。
秋には、すすきや松虫草の花をみに行きました。
こうして、二人は、たくさんの楽しい思い出を作って
いったのです。


                          つづく