竜の姿をみた少女


     竜の姿をみた少女8


その後。
かなは、湖のほとりで、何度かおじいさんに会い
ました。
「知らないおじいさんだけれど、どこのおじいさ
んかしら。別荘のかたかな」
かなは、みんなにおじいさんのことを聞いてみま
した。



「私、白い着物をきたおじいさんなんて、一度も
みたことがないわ」
「ぼくもみたことがない」
「私も」
「かなちゃん。この村には、長い杖をついたおじ
いさんなんて、一人もいないよ。どこのおじいさ
んかしら」
みんなそういいます。
「じゃあ、私だけが、あのおじいさんをみている
のかしら」
かなは、ふしぎに思いました。



八月末のある日。
むし暑い日でした。
かなは、湖のほとりで、またおじいさんに会いま
した。
「暑いのぅ」
そういいながら、おじいさんはかなの横に腰をお
ろしました。
「ぴゅー、ぴゅぅー」
湖の方から、涼しい風が吹いてきました。
「わぁー、いい風!!」


    つづく


「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)



湖につき落とされた三郎が、地の神に
助けられ、心のやさしさゆえに、竜神
となる表題作ほか、守屋山の明神様に
まつわる、福寿草と少女の話を収録。
信州諏訪の風の神様から聞いた話をま
とめた第2弾。



 収録されている童話

  
  ・  竜神になった三郎 

  ・  福寿草になった少女
 


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu2.html