明神さまの姿をみた少女


    明神さまの姿をみた少女2


「おまえは、兄思いの優しい少女じゃのー。兄の
病気は、じきによくなるだろう。いつまでも今の
優しい気持をわすれずに生きていくのじゃよ。



わしは時々少年の姿になって、諏訪の地をあちこち
みて歩いているので、おまえのことも兄のことも、
よーく知っているぞ。これからも兄と仲良くするの
じゃよ」
その声は、いつかどこかで聞いたことがあるような、
なつかしい声でした。



少女は、少年の姿になっているという明神さまに直
接あい、病気の兄のことをお願いしたいと思いました。
その後、少女は、いろいろな所で、おおぜいの少年に
出会いました。
しかし、少女は、神様の化身のような心の優しい少年
には、会うことができませんでした。



少女は、その後もずっと明神さまにお参りして、兄の
ことをお願いしていました。
しかし、なぜか、兄は少しもよくなりませんでした。


                          つづく

 
「明神さまの姿をみた少女」は、みほようこの初めて
の童話集・「風の神様からのおくりもの」に収録され
ています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話