きよと清太と、そして白駒


    きよと清太と、そして白駒11


「そんな縁で、清太さんはわが家へきてくれたのね。
あの家に、ふくちゃんという女の子がいたでしょ?」
「いたよ。ふくちゃんは、ほんとにかわいい少女だ
った。ふくちゃんはね、赤ちゃんの時、かあちゃん
の乳で育ったんだよ」
「えっ? じゃあ、二人は兄弟みたいに育ったのね」



「おらたちは、兄弟のように育った。でも、ふくちゃ
んは、八才の時になくなってしまった」
「その話、とうちゃんから聞いたわ。ふくちゃんは、
守屋山へ福寿草の花をとりに行って、なくなったんで
しょ」



「そうなんだ。ふくちゃんは、みんなが留守の時に、
一人で守屋山へ福寿草の花をとりにいき、道にまよっ
てしまったんだ。
運悪くその日雪が降って、ふくちゃんは凍死してしま
った。一人娘をなくした長者と奥さまは、気の毒なほ
どがっかりしていた。



かあちゃんも、ふくちゃんを娘のようにかわいがって
いたので、しばらく元気がなかった。おらもつらかった」
清太は、ふくのことを思い出し、涙がでそうになりま
した。


     つづく