きよと清太と、そして白駒


    きよと清太と、そして白駒30


「清太さんは、私の結婚相手は、家柄がよくて、
お金もちなら、それでいいの?」
きよが、いつになく強い口調でいいました。
こんなきよをみたことがなかったので、清太は
びっくりしました。



「私は、びんぼうでもいい。健康で、心が清くて、
自分の考えをしっかりもった人と結婚したい。そ
りゃあ、お金はないよりはあったほうがいいけれ
ど、二人でまじめに働けば、食べていけると思う。
私、次郎さんと結婚したくないの。次郎さんがわ
が家をついでくれるというなら、私はよそへとつ
いでも良いと思っているわ」
清太は、何もいえずきよの話をだまって聞いてい
ました。




きよちゃんが結婚してしまえば、もう「きよちゃん」
なんてきやすく声をかけることもできないし、こうし
て二人で馬を走らせることもないのだなと思うと、清
太はさみしく思いました。
「おらは、きよちゃんが大好きだ。次郎さんにも、い
やだれにも、きよちゃんをわたしたくない。きよちゃ
んは、おらのものだ!!」
清太は、心の中でさけびました。


つづく