きよと清太と、そして白駒


きよと清太と、そして白駒34


第三章 きよと清太、そして長者


八月のある日。
「きよ、ちょっと」
「なに? とうちゃん」
「きよは、いとこの次郎のことを、どう
思っているんだい」
「次郎さんは、やさしい人だわ。でも、
私は、次郎さんと結婚する気はありません」
きよは、きっぱりいいました。



「なぜ?」
「次郎さんは、自分の考えをもっていな
い。私、人のいうままになっている次郎
さんを、好きになれないの。それに、次
郎さんは、なんだかたよりないし・・・」



「たしかに、次郎には、そういうところ
がある。わが家の仕事は、けっこう大変
だ。村の人たちの相談にものってあげな
くていけないし、先頭にたっていろいろ
やっていかなくてはならないしね」
「結婚とは、むずかしいものだ」と、長
者は思いました。 


つづく