竜の姿をみた少女27
わしは、神様の許しをえて、この村にもどっ
てきた。
しかし、妻はどこにもいなかったのじゃ。
わしは、「おっかあ、おっかあー、どこにい
るー。いたら返事をしてくりょー」とさけび
ながら、妻をさがしてあるいた」
「奥さまは、どうしていなくなったのですか」
「妻は、何ヶ月も、わしをさがしたらしい。
でも、わしをみつけることができなかった。
疲れはてた妻は、諏訪湖へ身をなげようとし
たのじゃ。
その時、妻のおとうさんがあらわれ、諏訪湖
の奥へ妻をつれていったらしい。
後で知ったのだが、妻はある神さまの娘だった。
妻は、わしが帰ってくるのを、諏訪湖の奥で待
っていてくれた。
いつ帰ってくるかわからぬわしを、じっと待っ
ているのはつらかっただろう。
妻には、ほんとうに気の毒なことをしてしまっ
た」
「おじいさんは、奥さまに会えたの」
つづく
童話「竜の姿をみた少女」は、童話「竜神
になった三郎」の続編。
童話「竜神になった三郎」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に
収録されています。
童話「竜神になった三郎」
http://www.geocities.jp/dowakan/saburou1.html
童話集「竜神になった三郎」の紹介
http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu2.html
http://www.bk1.co.jp/product/2434727