笛の音よ、永久にひびけ


童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、スキー
大会の会場をつくるためにきりたおされた、
信州志賀高原の樹令200年の楓のお話。



  笛の音よ、永久にひびけ2


「かっこう君、君は元気だねぇ」
かえでは、かっこうに話しかけます。
「もうすぐ夏がきますよぉ」
かっこうは、森の仲間たちに、夏の訪れ
を知らせます。
「わしもかっこうのように、いつまでも元
気でいたいものじゃのぅ」
かえでは、かっこうの声を聞くたびに、そ
う思います。



かえでの木には、こげらもやってきます。
こげらは、木の幹をコツコツとたたきなが
ら、虫を食べてくれます。
「ギィーギィー」
初めてこげらの鳴き声を聞いた時、かえで
はびっくりしました。



「はて、何の音だろう?ボートをこいでい
るような、きみょうな音が聞こえるけれど、
何の音かな」と。
こげらの鳴き声だと知り、かえでは「面白
い鳴き声だな」と思いました。


               つづく



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、
みほようこの四冊目の童話集「ライオンめ
ざめる」に収録されています。