笛の音よ、永久にひびけ


  笛の音よ、永久にひびけ13


若者と村の人たちは、何本も何本も、笛を
作りつづけました。
しかし、澄んだ音色のする笛はできません
でした。
「かえでの木では、だめなのかもしれない。
あきらめるよりしかたがないのか」
若者は、弱気になりました。



「かえでのためにも、私だけでもがんばっ
てみよう」
若者は寝る間もおしみ、毎日笛を作りつづ
けました。
「かえでよ、もっと長生きしたかっただろ
うに、人間のかってで切りたおしてしまっ
て、ごめんね」
若者は笛を作りながら、かえでに心からわ
びました。



半年がすぎました。
ある日、やっと気にいった音色のする笛が
できました。
「やっと、清らかな音色のする笛ができた
ぞ!」
若者は、とびあがってよろこびました。


            つづく



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、スキー
大会の会場をつくるためにきりたおされた、
信州志賀高原の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、
みほようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に収録されています。









おとうさんからもらった誕生日のプレゼン
ト、ライオンのロケット。
そのロケットには、何千年も前の謎が秘め
られていた。
表題作ほか、霧ケ峰高原を訪れたときに、
風の神様から聞いた3つのお話を収録。




http://www.bk1.jp/product/02719469