福寿草になった少女


 福寿草になった少女7


「長者さまも奥様も、どんなにうれしいこと
か。本当によかったのぅ」
「おやしきもこれからにぎやかになるねぇ」
うわさを聞いた村の人々も、大喜びでした。



「福ちゃんにお乳を・・・」
男の子を生んだばかりの人が、福に乳をのま
せてくれました。
その人のおかげで、福はひもじい思いをする
ことなく、丈夫に育ちました。



大人ばかりの静かなやしきが、とてもにぎや
かになりました。
笑い声のたえない、明るい家になったのです。
「ほら、みて。福が笑っているわ。かわいい
笑顔ね」
「福がね、はいはいできるようになったのよ」



「つかまりだちができるようになったわ」
「福が歩けるようになったの」
二人は、福の成長を、何よりも楽しみにして
います。


          つづく



童話「福寿草になった少女」は、守屋山の明
神様にまつわる、福寿草と少女の話。
信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。




童話「福寿草になった少女」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に収
録されています。



http://www.bk1.jp/product/02434727