福寿草になった少女


   福寿草になった少女13


一方、用事からもどった夫婦は、福が家に
いないのに気づきました。
「福やー、福やー」
二人は、あちこちさがしまわりました。
村の人々も、手分けしてさがしてくれました。
しかし、福はどこにもいません。



「もしかして、守屋山へ行ったのでは・・・」
小雪のちらつく中を、大がかりな山狩りが、
一晩中おこなわれました。
でも、福をみつけることはできませんでした。
「福や、福や。どこへ行ってしまったの」
「この寒さでは、福はこごえしんでしまうだ
ろう。かわいそうに」



長者夫婦は、いてもたってもいられません。
「福が無事にもどってきますように」
二人は、ひっしで明神さまにお願いしました。

 
            つづく



童話「福寿草になった少女」は、守屋山の
明神様にまつわる、福寿草と少女の話。
信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。



童話「福寿草になった少女」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に収
録されています。








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