竜神になった三郎


  竜神になった三郎3
  

「三郎ー、でけえまつたけをみつけたぞー。
早くこっちへこーい」
太郎と次郎は、山の幸をとることが、とて
も上手でした。
三郎も兄たちに教えてもらい、山の幸をと
ることが楽しみになりました。



十数年が過ぎました。
大人になった兄たちは、それぞれに妻をめと
り、平凡に暮らしています。
三郎も、ニ十四才になりました。
りりしい青年になった三郎は、村の娘たちか
ら「三郎さ、三郎さ」と、したわれています。



「わし、三郎さの嫁さんになりたいな」
「私もよ。だって、三郎さって、やさしいん
だもん」
「だめよ。おらがなるんだから」
村の娘たちは、三郎が大好きでした。
三郎は、年寄りからも「三郎さ、三郎さ」と、
たよりにされていました。


            つづく



童話「竜神になった三郎」は、信州の諏訪
地方に伝わっている「竜になった三郎」を
ヒントにして、みほようこが書いた物語。



竜神になった三郎」は、みほようこの二
冊目の童話集・「竜神になった三郎」に収
録されています。








竜神になった三郎」は、2004年4月、
諏訪大社御柱祭にあわせて、「鳥影社」
から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。
すてきな挿絵です。