竜神になった三郎


  竜神になった三郎7


一年が過ぎました。
山の木々が、赤や黄色に紅葉し始めた頃、
三郎と娘は、夫婦になりました。
夫婦になった二人は、仲むつまじく暮らし
ました。



「三郎さん、ご苦労さま。疲れたでしょ」
仕事から帰ると、妻はやさしく三郎を迎え
てくれます。
三郎は妻の笑顔をみると、一日の疲れがふ
きとぶような気がしました。



三郎の妻は、姿が美しいだけでなく、心の
やさしい人でした。
その上働き者だったのです。
掃除も洗濯も、料理もはたおりも、とても
上手でした。
「すこしゆっくり休んだらどうだい」
三郎が心配するほど、妻はよく働きました。



「三郎さはいいのぅ。美人で、やさしくて、
その上働き者の嫁をもらって。
おらの息子も、あんな良い嫁をもらってく
れたら、どんなにうれしいだろう」
そういって、村の人々は、三郎の嫁をほめ
ました。



         つづく



竜神になった三郎」は、みほようこの二
冊目の童話集・「竜神になった三郎」に収
録されています。








竜神になった三郎」は、2004年4月、
信州の「諏訪大社」の御柱祭にあわせ、
「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。