竜神になった三郎


竜神になった三郎10


三郎は、久しぶりの魚つりを、楽しみにし
ています。
「三郎、もう少しむこうまでいこう」
太郎がいいました。
気のいい三郎は、ひっしに舟をこぎました。
そして、やっと湖の真ん中あたりにきました。



「三郎、疲れただろ。ご苦労だったな。ここ
らでいいだろう。天気もいいし、今日はたく
さん魚がつれるぞ」
兄たちは、なぜか上きげんでした。
三郎はひっしで舟をこいできたので、うでが
疲れていました。



「あーあ」
三郎がせのびをしようとたちあがった時、兄
たちは「それ、今だ」と、目くばせしました。
「えいっ」
兄たちは、三郎を後から力いっぱいおしまし
た。



「あっ」
声をあげた時には、三郎はまっさかさまに湖
におちていました。
三郎の目にとびこんできたのは、うずをまい
ている水面でした。
うずはだんだんに大きく、強くなってきまし
た。


          つづく



竜神になった三郎」は、みほようこの二
冊目の童話集・「竜神になった三郎」に収
録されています。








竜神になった三郎」は、2004年4月、
信州の「諏訪大社」の御柱祭にあわせ、
「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。










わが家のBlogPet「ryuu」の句