黄金色のまゆ玉


信州の諏訪地方には、「おみわたり」の伝
説があります。
「黄金色のまゆ玉」は、「おみわたり」の
伝説をヒントにして、みほようこが書いた
物語。



   黄金色のまゆ玉1


星のきれいな夜でした。

みしっ、みしっ。
ぱりっ。
バリバリッ。
ばしゃっ。

諏訪湖の方から、大きな音が聞こえてきま
した。



「何の音だろう?」
「氷が割れたような音だが」
「だれか湖に落ちたのだろうか」
人々は、驚いて外へとびだしました。



みると、氷の上をだれか歩いています。 
「氷の上を歩いている人は、だれだろう?」
「うす暗くて、だれだかわからんわ」
「歩いているのだから、湖へ落ちたわけで
もあるまい」
「まったく、人さわがせな人だのぅ」
「おお、寒い! かぜをひくぞ。早く家に
帰ろう」
そういって、人々は家の中へ入りました。


       つづく