黄金色のまゆ玉


     黄金色のまゆ玉4


「明神さまって、足が早いんだね。まるで、
氷の上をすべるように歩いていったよ」
「それにしても、明神さまはどこへ行った
のだろう」
「好きな人のところへ行ったのかもしれな
いよ」



「ばかをいえ。あんな美しい奥さんがいる
のに、明神さまがそんなことをするはずが
ないじゃないか」
「じょうだんだよ。じょうだん」
「なにしろあの二人は、うらやましいほど
仲がいいからね」



「じゃあ、明神さまはどこへ行ったのだろ
う?」
「明日の夜は、明神さまの行き先をちゃん
とつきとめようぜ」
青年たちは、何日も明神さまのあとをつけ
ました。
しかし、いつも明神さまの姿を見失ってし
まいました。


          つづく



信州の諏訪地方には、「おみわたり」とい
う伝説があります。


「黄金色のまゆ玉」は、「おみわたり」の
伝説をヒントにして、みほようこが書いた
物語。