黄金色のまゆ玉


   黄金色のまゆ玉5


二月初めのある夜。
青年たちは、今夜も明神さまの後をつけて
いました。
湖の真ん中あたりまできた時、「ばりばりっ、
みしっ」という大きな音がして、氷がわれ
はじめました。



「わぁー!」
「気をつけないと、湖へ落ちるぞ」
青年たちは、おもわず後ずさりしました。
そうしている間に、その夜も明神さまをみ
うしなってしまいました。



「今夜こそ、行く先をつきとめられると思
ったのに、残念だったな」
「それにしても、あぶないところだった。
こんな寒い夜湖に落ちたら、しんぞうまひ
で死んでしまうぞ」
青年たちは、とぼとぼと家に帰りました。



「そうだ。今度は湖の向こう側へ先まわり
して待っていたら、どうだろう」
「おお、そうすれば、うまくいくかもしれ
ないぞ」
青年たちは、湖の向こう側へ先まわりして、
明神さまを待つことにしました。
でも、明神さまの行き先をつきとめること
はできませんでした。


          つづく



信州の諏訪地方には、「おみわたり」とい
う伝説があります。


「黄金色のまゆ玉」は、「おみわたり」の
伝説をヒントにして、みほようこが書いた
物語。