黄金色のまゆ玉


    黄金色のまゆ玉15


奥さんは虫のいどころが悪かったのか、す
なおになれませんでした。
「私、このやしきを出ていくわ」
「これくらいのことで、出ていかなくても
良いではないか」



「まゆ玉のことはともかくとして、私は寒
いのが大嫌い。
今までずっとがまんしていたけれど、ここ
は日が沈むのも早いし、とても寒い。
こんな寒い所には、これ以上住めないわ。



私は、湖の向こう側の日がよくあたる場所
へいって暮らしたいの」
そういうと、奥さんはさっさとしたくをし
て、湖の向こう側へ行ってしまいました。
そして、明神さまが何度迎えに行っても、
奥さんは帰ってきませんでした。


          つづく



信州の諏訪地方には、「おみわたり」とい
う伝説があります。


「黄金色のまゆ玉」は、「おみわたり」の
伝説をヒントにして、みほようこが書いた
物語。