女神さまとの約束12
「大きく口をあけて、上をむき、胸を
そらせてさえずるんですよ。
中には、尾を上げ下げしながら、さえ
ずっているのもいますよ」
白駒は、こまどりのさえずり方を教え
てくれました。
からまつ林を通ると、「チッ・チィー・
チチロ・チチロ・チィチィ」と、るり
びたきが鳴いています。
「ふくさん。るりびたきは、背中の瑠
璃色と脇腹のオレンジ色が、きれいな
鳥ですよ。
女神さまは、るりびたきを幸せの青い
鳥ってよんでいます。
羽が美しい瑠璃色になるには、三年く
らいかかるそうですよ」
ふくは、青い鳥とよばれるるりびたき
を、いつかみたいと思いました。
ふくと白駒は、けわしい道を登ったり
おりたりして、黄金色の花をさがしま
した。
しかし、天狗岳には、黄金色の花はあ
りませんでした。
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。
「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこが
書いた物語。