女神さまとの約束


   女神さまとの約束14


硫黄岳の北面は、断崖絶壁でした。
「白駒。けわしいがけね。下をみると、
すいこまれそうね。こわいわ」
ふくは、白駒にしがみつきました。



「ふくさん。これは、爆裂火口跡です
よ」
「爆裂火口跡って、何?」
「火山が爆発した跡ですよ。硫黄岳は、
八ヶ岳連峰の中で、最後に噴火した山
なのです。火口跡の壁をみてごらんな
さい。硫黄色になっているでしょ」



「白駒。崖に鳥がいるわ。何という鳥?」
「ほしがらすですよ」
白駒は、火口跡をのぞきこみながらい
いました。
山頂には、たくさんの礫がころがって
いました。
白駒も歩きにくそうです。


           つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。



「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。