女神さまとの約束


    女神さまとの約束30


「とうちゃん。いつかきっと、家に帰
れると思うわ。
とうちゃんも、体に気をつけて、元気
でくらしてね」
「ふくも、元気でくらすのだよ」
その夜、長者とふくは、なかなかねつ
くことができませんでした。



次の朝。
長者は、白駒の背にのって、一人で家
へもどっていきました。
ふくは、女神さまとの約束どおり、黄
金色の花が咲いている岩場に残りまし
た。



長者が帰ったその日。
白駒は、ぐったりしたおじいさんをつ
れてきました。
そして、ふとんの上に、おじいさんを
ねかせました。
「白駒。この人、ぐったりしているけ
れど、だいじょうぶ?」
ふくは、心配になって、おじいさんが
息をしているかどうかたしかめました。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。



「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。