女神さまとの約束31
「ふくさん。だいじょうぶですよ。
明日朝早く、様子をみにきますね」
そういって、白駒は帰っていきました。
その夜。
ふくは、ねないでおじいさんの看病
をしました。
次の朝。
「あれっ?」
「やっと、気がついたのね。よかった」
ふくは、ほっとしました。
「ここは、どこ?」
目をさましたおじいさんは、ふしぎ
そうな顔で聞きました。
「ここは、八ヶ岳の山奥、硫黄岳の
岩場ですよ。おじいさんは、昨日こ
こへきたのです」
「昨日?ここへ」
「そうですよ。白い馬に乗って、こ
こへきたのですよ」
「白い馬? わしは、何にもおぼえ
ておらん」
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。
「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこが
書いた物語。