女神さまとの約束


   女神さまとの約束33


「おじいさん。夕焼けにそまった山は、
きれいね」
硫黄岳からみる朝日や夕日は、すてき
でした。
二人は、時間のたつのも忘れて、八ヶ
岳連峰の山々をみながら、いろいろな
話をしました。



一ヵ月後。
「ふくちゃん。ありがとう。ふくちゃ
んのおかげで、わしはこんなに元気に
なれた。ここでの生活は、とても楽し
かったよ」



「おじいさん。元気でくらしてね。
おじいさんとの生活、楽しかったわ。
まごのようにかわいがっていただきあ
りがとうございました」
ふくは、おじいさんに心からお礼をい
いました。



この岩場で、初めて世話をしたおじい
さんのことは、ふくの心に強く残りま
した。
おじいさんが家に帰ると、いれかわり
に今度は足の悪いおばあさんがやって
きました。
はうことしかできなかったおばあさん
でしたが、二週間後には杖なしで歩け
るようになりました。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。



「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。