女神さまとの約束35
ある日、ふくは白駒に聞きました。
「白駒。足腰もたたない人を、どうや
ってここへつれてくるの?」
「女神さまのいいつけで、その人の家
へ行くと、女神さまが私の背中に病人
をのせてくれるのです」
「では、ここへつれてくる人を、どう
やって選ぶの?」
「女神さまは、神さまを信じていて、
心の清い人を選ぶようですよ」
白駒はいいました。
一本きりだった黄金色の花も、今では
十数本にふえました。
「ふくちゃんのおかげで、おらはこん
なに元気になれた。
ありがたいことじゃ。ふくちゃん、あ
りがとう」
元気になった人は、どの人もふくに感
謝しました。
何百人もの人が、黄金色の花びらで、
元気になりました。
ふくも、病気で苦しんでいる人をたす
けることに、いきがいを感じています。
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。
「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこが
書いた物語。