女神さまとの約束37
部屋の中はあたたかでしたが、半年
間は毎日白い雪をみてくらさなくて
はなりません。
ふくは、けわしい岩場の生活に、だ
んだんあきてきました。
病人をすくうことにも、むなしさを
感じるようになっていました。
「女神さまが、自分で病人をすくえ
ばよいのに。なぜ私がすくわなくて
はならないの」
こんな気持になることも、たびたび
でした。
「とうちゃんは、元気でいるかしら」
「たきたてのあたたかなごはんが食
べたいな」
「大好きなりんごも食べたい」
「魚も食べたい」
そう思うと、ふくは家に帰りたくな
ってしまいました。
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」
という伝説があります。
「女神さまとの約束」は、「白駒
の池」の伝説をヒントにして、
みほようこが書いた物語。