守屋山に黄金色の花が咲いた


  守屋山に黄金色の花が咲いた7


「なんてきれいな花だろう」
少女は黄金色の花にみとれていました。
するとまた声が聞こえました。
「少女よ、長い間、本当によくがんばっ
たのー。目の前の黄金色の花は、おま
えが咲かせた花じゃ。



兄を思うやさしいしい気持が、この黄
金色の花になったのじゃ。
この花は何というか知っているか。
福寿草というのじゃ。
おまえが兄にやさしいことばをかける
たびに、一本ずつここに咲いたのじゃ。



この黄金色の花は、誰にでも見える訳
ではないぞ。心のやさしい人にしか見
えないのじゃ。
春になると、おおぜいの人が黄金色の
花をさがしにやってくるが、誰の目に
も見えないのじゃ。



明日兄にも黄金色の花をみせておやり。
一本くらいは兄にも見えるだろうから…。
兄も今度こそよくなるだろう。おまえ
の苦労ももう少しじゃ。
いつまでも今のやさしい気持を忘れな
いようにな」
そういうと、明神さまは少女に黄金色
の花を一株くれました。


             つづく



童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」
は、みほようこの初めての童話集「風
の神様からのおくりもの」に収録され
ています。



童話集「風の神様からのおくりもの」は、
信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。







風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




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