鹿になった観音さま2
秋のある日。
「うー、わん、わん」
「わん、わん、わん」
タケルとチハヤが、裏山でけたたまし
くほえています。
「どうしたのだろう。裏山に、魔物で
もいるのだろうか」
和尚は、山をみながらいいました。
すると、
甲賀三郎兼家が、通りかかりました。
三郎は、鹿狩りの名人。
毎日山へ行き、鹿狩りをしています。
三郎は、鹿だけでなく、うさぎやいの
ししなどもとっていました。
三郎の家は、田畑や山林をたくさん持
っています。
村一番の金持でした。
つづく
「鹿になった観音さま」は、信州の伊那
谷・「三穂」に伝わっている話をヒント
にして、みほようこが書いたものです。