鹿になった観音さま7
気がつくと、タケルとチハヤのなき
声が聞こえません。
「タケル」
「チハヤ」
三郎は、大きな声で二匹の名をよび
ました。
でも、犬たちはどこにもいません。
タケルたちは、どこへ行ってしまっ
たのでしょうか。
大きな杉の木の下を通った時、根
元でぴかっと光っているものがあ
りました。
「何だろう」
近づいてみると、小さな観音さま
でした。
身の丈は、二寸(六センチ)くらい。
黄金のように、ぴかっぴかっと光っ
ています。
そして、観音さまの横には、石が
二つころがっていました。
「なんだ、この石は」
よくみると、タケルとチハヤでした。
つづく