井戸で鳴く黄金色のにわとり


   井戸で鳴く黄金色のにわとり2


城代は、武田信廉(のぶかど)。
信玄の弟でした。
信廉は、和歌や書・絵・彫刻などを
たしなむ風流な人でした。
信玄にそっくりだったので、信玄の
影武者になったこともあったそう
です。



大島城には、美しい姫がいました。
姿が美しいだけでなく、心のやさ
しい姫でした。
姫が大切にしているもの、それは
黄金色のにわとりでした。
名前は、こっこ。



「コケコッコー」
「コケコッコー」
朝、東の空が明るくなると、にわ
とりの元気な声が聞こえます。
にわとりは、天守閣にまいあがり、
声高に時をつげます。


              つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている伝説をヒント
にして、みほようこが書いたもの。