井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり6


大島城も、ここ数年は平和でした。
「姫。これは、おじいさまの絵だよ。
おじいさまに、にているかな」
そういって、信廉は、おじいさん
肖像画をみせてくれました。



「おとうさま。おじいさまにそっ
くり」
姫のことばを聞き、信廉はうれし
そうでした。
「平和な世の中が続き、おとうさ
まが絵や書をたくさんかけますよ
うに」
姫は、心の中でそっとつぶやきま
した。



天正十年(1582年)二月。
大島城に、戦の知らせが届きました。
「織田軍が、伊那谷へせめてくる
らしい」と。
「織田というと?」
「信長の長男、信忠じゃ」


              つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州伊那谷の大島城」に伝
わっている伝説をヒントにして、
みほようこが書いたもの。