井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり7


「信忠か、てごわい相手じゃのぅ。
いつ伊那谷にせめてくるのだろうか」
「さあ、わかりません。戦の準備を
しておくようにとの知らせでござい
ます」
信廉が、知らせにきた人と、小声で
話していました。



「いよいよ、おそれていた戦が始ま
るのか」
姫は、城下の人々のことを心配しま
した。
「吉岡城の下条が、織田に降参した
らしい」
松尾城の小笠原も、降参した」



「飯田城の保科が、高遠城へ逃亡し
た」
こんな知らせが、毎日のように、信
廉の元へ届きました。
「いよいよ、次はわが城か・・・」
信廉は、小声でつぶやきました。


             つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州伊那谷の大島城」に伝
わっている伝説をヒントにして、
みほようこが書いたもの。