井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり11


「わぁーっ」
「きゃー」
女の人の悲鳴が聞こえます。
一箇所火を消しても、すぐまた別
の所から火の手があがりました。
城のあちこちが、すごい勢いで燃
えはじめました。
城の中は、もうもうと煙がたちこ
めています。



「姫さま。さあ早く、あっちへ逃
げましょう」
姫はにわとりをだいて、おつきの
人と一緒に、安全な場所をさがし
逃げました。



「く、く、くっ」
にわとりが苦しそうに鳴いています。
「こっこ、だいじょうぶ。私が守
ってあげるから」
姫は、にわとりをしっかりだきし
めました。



「神様、どうか大島城をお守りく
ださい。一刻も早く、城の火が消
えますように」
姫は、心の中で一心に祈りました。


             つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州伊那谷の大島城」に伝
わっている伝説をヒントにして、
みほようこが書いたもの。