赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花1


信州の最南端に、「権現城」とい
う城がありました。
関氏の城で、「和知野城」ともよ
ばれています。



今からおよそ五百六十年前。
文安五年(1448年)。
関の一族は、戦乱を逃れ、伊勢か
ら信州の新野に移ってきました。



初代の城主は、関盛春。
領地は、和知野川から南の下郷五ケ
村でした。
二代目の城主は、盛国。
盛国は、父・盛春の菩提をともら
うため、瑞光院を創建しました。



関と隣の城・下条との対立は激し
く、数十年間にわたり、何度も戦
がくりかえされました。
そして、大下条周辺の十八ケ村が、
権現城の領地になりました。
しかし、高地が多く、農作物の収
穫はあまり期待できません。


            つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。