赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花2


城ができてから九十年後。
天文八年(1538年)。
「盛永さまが、五代目の城主にな
るそうじゃ」
「年貢は、どうなるのじゃろ。
安くなるとうれしいが」
領民たちは、新しい城主・盛永に
期待しました。



しかし、その期待は、みごとにう
らぎられました。
盛永は、先代の城主以上に、領民
たちから厳しく年貢をとりたてま
した。



「こんなに年貢が高くては、暮ら
していけない」
「嫁とりにまで、税をかけるなん
て。これでは、結婚もできない」
領民たちは、口々になげきました。


             つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。