赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花3


「みなのもの、新しい城をつくるぞ」
盛永は、五年間に、三つも城をつ
くりました。
城を築くため、のべ三千人以上の
領民に、石を運ばせました。
石を運ぶ仕事は、過酷でした。盛
永は、仕事をなまけているものに
は、容赦なく罰をあたえました。



「城なんか、一つあればいい。
なぜ三つも城を作るのじゃ。そん
な金があったら、年貢を安くして
ほしい」
「石を運ぶ仕事は、もうたくさん
じゃ」



「殿様は、わしらをなんと思って
いるのだろう。働く道具とでも思
っているのか」
領民たちは、城をつくるたびに、
城主の盛永に不満をもつようにな
りました。


            つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。