開善寺の早梅の精15
そうです。
文次の前にあらわれた女の人は、
月香寮の前に咲いている早梅の精
だったのです。
梅の花匂ふ袂のいかなれば
夕暮れごとに春雨の降る
文次は、「あの人の香りが残る袖
は、毎夜私の涙でぬれている」と
いう意味の歌をよみました。
文次は、梅香のことがわすれられ
なかったのでしょうね。
この歌をよんだ翌日、文次は戦場
でなくなりました。
「この世の最後に、梅香さんと歌
あわせができて、わしは幸せだった。
梅香さん、ありがとう」
そういって、文次はあちらの国へ
旅立っていきました。
おわり
信州の伊那谷に、「開善寺」という
寺があります。
「開善寺の早梅の精」は、開善寺に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。
初めて読んでくれたかたへ
開善寺の早梅の精1
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080607#p1
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