あげはちょうになって


  あげはちょうになって2


しかし、なぜか、ひろのお墓はない。
この家では、幼いひろのお墓を作
るよゆうがなかったのかもしれない。



かなはお墓参りをするたびに、幼
くてなくなったひろのことが気に
なっていた。
六十年たった今では、ひろのこと
を知っている人も、ひろのことを
なつかしく思い出す人もなかった
のだ。



かなは五才の時、交通事故でおと
うさんとおかあさんをなくした。
かなは、田舎のおじいさんにひき
とられ、おじいさんと二人で暮し
ている。



おじいさんは、かなのおかあさん
の父。
花や小鳥が好きなやさしい人だ。
かなは、小さな時からおじいさん
が大好きだった。だから、おじい
さんの所へやってきた。
おじいさんも、かなが大好き。
二人は、仲良くくらしている。


つづく