あげはちょうになって


    あげはちょうになって7


「かなちゃん。いつもぼくのこと
を思い出してくれて、ありがとう。
ぼくのことを思い出してくれるの
は、かなちゃんだけだ。
ぼくはね、夏になると、あげはちょ
うになって、かなちゃんの庭に遊
びにきていたんだよ」



あげはちょうは、かわいい声でつ
ぶやくと、あっという間にどこか
へとんでいってしまいました。



たまのかんざしの香りが、風にの
ってぷーんとにおってきた。
なんともいえない良い香りだ。
薄暗くなった庭で、たまのかんざ
しの花だけが、白くうきあがって
みえた。


         おわり