白駒の池物語


  白駒の池物語20


第三章 座禅草の咲く高原で


春の遅い佐久にも、ようやく暖か
な春がやってきました。
長者の庭でも、福寿草の花がきれ
いに咲いています。



「おじょうさま」
「なぁに、清太さん」
「これから、高原へ行こう」
「これから?」



「そう、これから。昨日、長者の
おともで高原を通ったら、座禅草
の花が咲いていた」
「座禅草の花?」
「おじょうさまは、座禅草の花を
知らないの」

            つづく



「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。