白駒の池物語


  白駒の池物語31


「私、その家なら、知っている。
あそこのおじさんととうちゃんは、
親友なの」
「そうだってね。おらを、この家
へ紹介してくれたのは、あの長者
なんだ。



佐久の長者はいいかただから、あ
そこへ行っていろいろ勉強してお
いでといわれた」
「そんな縁で、清太さんはわが家
にきてくれたのね。



あの家に、ふくちゃんという女の
子がいたでしょ」
「いたよ。ふくちゃんは、とても
かわいい少女だった。
ふくちゃんはね、かあちゃんの乳
で育ったんだよ」



「えっ、ほんと? じゃあ、二人
は、兄と妹のように育ったのね」
「うん。おらたちは、兄と妹のよ
うに育った。
でも、ふくちゃんは、八才の時に
なくなってしまった」


            つづく



「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。



初めてこの物語を読んでくださった
かたへ


    白駒の池物語1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080807#p1



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