白駒の池物語55
あたりがだんだんうす暗くなって
きました。
どこからか、いい香りがしてきます。
みると、ゆうすげのつぼみが、大
きくふくらんでいます。
鮮やかなレモン色のつぼみでした。
「きよちゃん。もう少しで、ゆう
すげの花が咲くよ」
重苦しい空気をかえようと、清太
は明るい声でいいました。
一枚目の花びらが、ゆっくり開い
ていきます。
「清太さん。花びらが開いてきたわ」
きよが、うれしそうにいいました。
続いて、二枚目・三枚目・四枚目
と、花びらが開いていきました。
そして、最後の六枚目の花びらが、
今開こうとしています。
「清太さん。最後の花びらが開くわ」
きよが、笑顔でいいました。
すてきな笑顔でした。
つづく
「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。
昨日の分は、こちら。
白駒の池物語54
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080929#p1
初めてこの物語を読んでくださった
かたへ
白駒の池物語1
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080807#p1
「次の日」「次の日」と押せば、
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「白駒の池」の写真