白駒の池物語57
でも、清太は、自分の気持をきよ
に伝えることはできませんでした。
「清太。おまえは、誰に遠慮をし
ているのだ。長者に遠慮をしてい
るのか」
どこからか、また声が聞こえてき
ました。
おらは、世話になっている長者に、
遠慮しているのかもしれない。
ほんとにきよちゃんが好きなら、
誰にも遠慮することなどないのに。
こんな心の声も聞こえてきました。
でも、清太は、自分の気持をきよ
に伝えることができませんでした。
きよちゃんには、幸せになってほ
しい。大好きだからこそ、自分は
身をひくべきだと、清太は思った
のです。
二人は、時のたつのも忘れ、ゆう
すげの花をみていました。
つづく
「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。
昨日の分は、こちら。
白駒の池物語56
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20081001#p1
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かたへ
白駒の池物語1
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080807#p1
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