白駒の池物語


  白駒の池物語63


「とうちゃんは、家柄が大事だと
いうけれど、私はたまたま庄屋の
娘として生まれ、清太さんは貧し
い家に生まれたというだけのこと
ではないの。



とうちゃんは、私が貧しい家の娘
だったら、息子とつきあうのを反
対するの」
長者は、何もいえませんでした。



きよは、心のやさしいきだてのい
い娘。それに、しっかりもの。
たとえ家柄がちがっても、息子の
嫁になってほしいと思うだろうな
と、長者は思いました。



「きよ、正直にいおう。
とうちゃんは、清太が大好きだ。
清太は、誠実な心のやさしい青年だ。
体も丈夫だし、自分の考えもしっか
り持っている。その上働き者だ。



家柄のことを除けば、清太はきよ
の結婚相手として、もうしぶんの
ない青年だと思う」
「とうちゃん。私は、本人がしっ
かりしていれば、家柄など気にし
なくてもいいと思うけれど」


             つづく



「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。



   昨日の分は、こちら。


   白駒の池物語62


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20081007#p1




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    白駒の池物語1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080807#p1



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