白駒の池物語


  白駒の池物語71


「清太。そうはいかない。
実は、きよも清太が大好きだとい
っている。
結婚することができない若い二人
が、同じ屋根の下で一緒にくらす
ことはできない。



きよのためにも、清太のためにも、
これ以上二人がいっしょにいては
いけない。
清太、お願いだから、すぐこの家
を出ていってほしい」
長者は、清太にお願いしました。



「長者さま。今日一日だけ、この
家にいさせてください。
私は、おじょうさまと白駒に、そ
れとなくお別れがしたいのです」



「清太。今日、一日だけだぞ。
明日の朝早く、みんながおきない
うちに、この家を出て行ってほしい。
きよには、何もいわないでおくれ。
たのむ、清太」
「わかりました」
清太は、心ならずもそう答えました。


            つづく



「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。



   昨日の分は、こちら。


   白駒の池物語70


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20081015#p1




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    白駒の池物語1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080807#p1



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