白駒の池物語73
「清太、元気でくらすのだよ。
幸せになっておくれ」
長者は、なごりおしそうにいいま
した。
わしは、きよも清太も、どちらも
手ばなしたくない。
二人とも、自分のそばにいてほしい。
わしに勇気があったら、二人を結婚
させてあげられるのに。
きよ、そして清太。勇気のない私を、
どうか許してほしい。
長者は、心の中で二人にわびました。
「では、これで失礼します。
明日は早いので、あいさつをしない
で出かけます。
どうかみなさまによろしくお伝えく
ださい。八年間、いろいろお世話に
なりました」
そういって、清太は、長者の部屋を
でました。
つづく
「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。
昨日の分は、こちら。
白駒の池物語72
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20081017#p1
初めてこの物語を読んでくださった
かたへ
白駒の池物語1
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080807#p1
「次の日」「次の日」と押せば、
「白駒の池物語」を続けて読む
ことができます。