昭和60年代の歌9


友達の土産にせむと幼子が

   持ち行く蝉籠に青草入れてやる



整然と列なす茶畑に並みたてる

   霜除けの扇風機秋風に廻る



剪定も消毒も怠りし柿なれど

   たははになりて色付きてきぬ



心字の池に向ふきざはしに散りしける

   落葉踏む音心に沁みぬ